記事の要旨:「卵は一つのカゴに盛るな」という投資格言を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。「分散投資によるリスクの低減」その代表格「投資の王道」と言われる「アセットアロケーション運用」ですが投資初心者には、複数アセット(8~10種類の投資商品)のリバランスなど何かとハードルが高く「難しい」と敬遠されがちです。本記事では、私 かもナスが実際に投資している「最小限のファンド(投資信託)数で完結できる」アセットアロケーション運用としては超シンプルな方法についてご紹介いたします。

アセットアロケーション(資産配分)運用
世界標準の投資法

世界で最も支持され、多くの機関投資家も採用している「王道の投資法」世界標準の投資法があります。プロではなく一般人である私たちは、この投資法を真似て長期投資することにより、高確率で安定した結果を得ることが出来る誰にでも可能な投資手法です。



しかし、投資初心者にとっては、管理の複雑さからハードルが高く感じられ敬遠されがちで、例えば「株式のみでの分散」や「株式と現金のみ」の運用が多いのではないでしょうか。
私 かもナスの投資法は、ファンド(投資信託)を4種類だけ購入し、年1~2回 バランスを見直すだけの手法です。それだけで「世界の株式に分散、債券も日本債券と先進国債券に分散、コモディティの代表である金(ゴールド)にも分散して低リスクな投資をすることが出来ます。



まずは、実際のアセット比率と過去のリスクとリターンをご覧ください。





7つのアセット+現金アセットですが、4つのファンドだけなのでリバランスも簡単です。株式3:債券3:金(ゴールド)3:現金1の比率です。



つまり、株式と債券と金(ゴールド)を1:1:1にします。
ココがミソです。シンプルで分かり易いバランスで行けるのです。



その後に株式の中の2つの銘柄を2:1に調整します。ココの比率は、各自のお好みで変更可能です。もちろん銘柄も変更可能でもっとシンプルに1つのファンドだけにすることも可能です。
リバランスとは?
相場の変動によって変化した資産配分を修正することです。リバランスを行うことで、当初の投資目的やリスク許容度に戻すことができます。また、タイミングは年に1~2回程度、高くなった資産を売却して安くなった資産を買うことで、投資の基本である「安く買って高く売る」ことを機械的に行います。
※過度に頻繁なリバランスを行うと、本来得られるべき利益が低下するため、あまりオススメしません。
【購入銘柄】4つのファンド(投資信託)
株式ファンド 購入比率30%
eMAXIS Slim 全世界株式【オール・カントリー】購入比率20%
【信託報酬0.05775% 実質信託報酬0.11%】【NISA積立・NISA成長枠対象】
ニッセイNASDAQ100インデックスファンド 購入比率10%
【信託報酬0.2035% 実質信託報酬0.21%】【NISA成長枠のみ対象】



株式ファンドをS&P500インデックスにするなど、各自のお好みで銘柄変更も可能です。ただしリスクやリターンが変わります。
金(ゴールド)ファンド 購入比率30%
SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)購入比率30%
【信託報酬0.1838% 実質信託報酬0.22%】【NISA成長枠のみ対象】



※こちらの商品は、SBI証券でしか販売されておりません。
※ゴールドファンドは類似の商品が多数存在しますので、SBI証券以外で投資される方は、ご自身の判断で購入可能な商品をお選びください。その際は、出来るだけ実質信託報酬の低いものがオススメです。
債券バランス型ファンド 購入比率30%
DCニッセイワールドセレクトファンド(債券重視型)購入比率30%
【信託報酬0.154% 実質信託報酬0.17%】【NISA積立・NISA成長枠対象】
現金ポジション 比率10%
生活防衛資金とは別に、投資用資金として10%を証券口座もしくは、可能であれば証券口座とスイープ設定可能なネット銀行に確保



いずれのファンドも、新NISA開始時点で実質信託報酬が最安のものをチョイスしています。トータルの実質信託報酬は、概ね0.18~0.19%の範囲を見込んでいます。
信託報酬と実質信託報酬の違い
信託報酬は、投資信託の目論見書に記載されているベースとなる数値です。実質信託報酬は、1年間運用した結果「隠れコスト」と呼ばれる運用に際し実際にかかった費用を上乗せしたもので運用報告書(全体版)に記載されている実際に要した合計値です。
なぜNASDAQ100インデックスなのか



一言で言うと、「今後も成長が期待出来、リターンの向上が最も見込め、100社に分散されているから」と言う事になります。



下図をご覧ください。世界で最も愛されている指数S&P500インデックスから、GAFAMと呼ばれるトップ企業5社のS&P5:Google,Amazon,Meta,Apple,Microsoftを除いたS&P495のチャートです。


結局米国が強い理由は、ハイテクを中心としたこれらの企業が牽引しているウエイトが高く、また今後もAI搭載ヒューマノイドの登場や宇宙産業の発展など、将来有望なジャンルに少量投資しておいて、リターンの向上を図ろうという理由です。(厳密に言うと米国株アセットとして計算された結果データよりも平均リターンとリスクは、若干上がることになります。)


かもナスは、例えば、よく耳にする「全世界株と全米株の両持ちは、分散の意味がない」と言われても、両方とも購入する派です。そうすれば、どちらが勝ろうが必ず中間の結果が得られます。どちらかに賭けて後悔するという可能性が無くなることで、平静を保てることが好みです。そのような考え方から、全世界株一択ではなく米国株指数の中からNASDAQ100インデックスを選択したということです。FIRA60バランスライフの基本理念に通ずるものです。
では、これらの銘柄で組み合わせた結果、どのような中身になっているのかについて詳細説明に移る前に、投資初心者には、暴落時に投げ売りしてしまわないように、理論武装によるメンタルの維持が重要です。そこで、知っておきたい基礎知識をまとめてみました。
現代ポートフォリオ理論とアセットアロケーション理論
現代ポートフォリオ理論



リスク分散の重要性を説き、個々の資産の特性だけでなく、資産間の相関関係も考慮したうえで数理モデルを用いて投資を分析し、最適なポートフォリオを構築することを目指す金融学の基礎となる理論です。
- 投資におけるリスクとリターンはトレードオフの関係にあることを定量的に示した理論
- 複数の資産に分散投資することで、全体のリスクを低減できることを数学的に証明
- 効率的フロンティアにより、リスクの最小化と期待リターンの最大化を計る



「現代ポートフォリオ理論」とは、ハリー・マーコウィッツ氏が「ポートフォリオ選択理論」という論文を発表。彼は、この論文で1955年にシカゴ大学から経済学の博士号を取得。そして1990年にはノーベル経済学賞を受賞されています。
アセットアロケーション理論



現代ポートフォリオ理論の数学的な厳密性を踏まえつつ、投資対象となる株式、債券、不動産など、複数のアセット(資産)クラスにどのように配分するかを長期的な視点で決定するための理論です。
このように現代ポートフォリオ理論を礎にしているアセットアロケーション理論を用いて、具体的な資産配分を決定することが、投資の王道であるアセットアロケーション運用となります。



次に、安定した運用で有名なアセットバランスについてまとめました。
オールシーズンズ戦略



オールシーズンズ戦略は、様々な経済状況(成長期、後退期、インフレ期、デフレ期など)において、安定したリターンを追求することを目的とした投資戦略です。具体的には、株式、債券、金、コモディティなど、様々な資産を組み合わせてポートフォリオを構築します。
オールシーズンズ戦略のアセットバランス
- 株式: 30%
- 長期国債: 40%
- 中期国債: 15%
- 金(ゴールド): 7.5%
- コモディティ(その他): 7.5%





「オールシーズンズ戦略」は、世界最大級のヘッジファンドBridgewater(ブリッジウォーター)の創業者レイ・ダリオ氏考案のアセットバランスで、その安定度は折り紙付きです。
パーマネントポートフォリオ



パーマネントポートフォリオは、長期的な安定と成長が期待できるシンプルな資産配分戦略です。このポートフォリオの特徴は、以下の4つの資産クラスに均等に投資することです。それぞれの資産が異なる経済状況で異なる動きをするため、相関性が低く、全体のリスクを分散することができます。
パーマネントポートフォリオのアセットバランス
- 株式:25%
- 債券:25%
- 金(ゴールド):25%
- 現金:25%





「パーマネントポートフォリオ」は、投資家ハリー・ブラウンによって提唱された投資戦略で経済のどの局面でも安定していて、市場の変動に左右されにくく長期的な資産形成に向いています。パーマネントとは永遠を意味し「永遠のポートフォリオ」とも呼ばれています。
オールシーズンズ戦略は、現時点で購入できる日本のファンド(投資信託)だけでは実践が困難で、米国ETFを米ドルで購入するなどの必要が生じ、投資初心者にはハードルが高くなります。
パーマネントポートフォリオについても同じく円資産とドル資産の比率コントロールを行うためには、購入銘柄数が増え、管理が煩雑になってしまいます。
長期的視点では円安傾向と言われてはいますが、円資産は、30%以上確保したいところです。



いずれにせよ、何がしかの妥協が必要となるので、かもナスの実践しているポートフォリオでは、インデックスファンドのみに限らず、バランス型ファンドを組み入れることで、かもナスの理想に極めて近いアセットバランスに仕上げています。
かもナスの理想としているアセットバランス



長期的な安定度の高さで有名なこれら2つのポートフォリオを踏まえ、かもナスが、コアの資産運用で理想としているアセットバランスは、以下の通りです。
- 現金:10%
- 株式:40%
- 債券:20%
- 金(ゴールド):30%





※安全資産が、現金と債券で合わせて30%(安定度の高いこのアセットバランスでれば、現金比率を低くできます)インフレ対策で株式40%、資産保全目的でゴールド30% ※円資産の比率は、30%になります。
かもナスが実際投資している4つのファンドによるアセット比率
- 現金:11.5%(ファンド内部の短期金融資産含む)
- 日本株:7.1%
- 米国株:10%
- 先進国株:19.7%
- 新興国株:2.2%
- 日本債券:13.5%
- 先進国債券:6%
- 金(ゴールド):30%
株式39% 債券19.5% 金(ゴールド)30% 現金11.5%(ファンド内の短期金融資産含む)



如何でしょうか、このように、ほぼ理想に近いアセット比率にすることが出来ています。


コア・サテライト戦略
コア・サテライト戦略とは



「コア」は「中核」を意味し、比較的安定的な収益が期待できる資産(コア資産)を指します。一方、「サテライト」は「衛星」を意味し、高い成長が期待できる一方で、変動リスクの高い資産(サテライト資産)を指します。



この戦略では、資産全体をコア資産(7~8割程度)とサテライト資産(2~3割程度)に分け、資産全体のリスクを抑えつつ、長期的な資産の拡大を目指します。
コア投資で考慮した要素
かもナスが、コア投資のアセット比率を決定するために盛り込んだ要素
- 長期投資において、米国の覇権が終焉を迎える可能性が無いとは言えない
- 現在、基軸通貨である米ドルが、他の通貨に置き換わる可能性が無いとは言えない
- 米ドルに頼り過ぎず、通貨の分散が必要であり可能な限り地域分散する
- 長期的には、日本の生産性が向上しない限り、円安傾向に歯止めが掛からない(短期的には、日米金利差によって円高もあり得る)
- インフレは、貨幣価値を下落させる
- 米ドルしかり日本円しかり、大量の国債発行で通貨の価値が下落している
- 通貨の価値が下落するとコモディティ(現物)の価値が相対的に上昇する
- 金(ゴールド)の比率は、従来の常識(PFの15%以内)が通じない状況になりつつある
- ハイパーインフレや物価上昇と不況が同時に起こるスタグフレーションに配慮する
サテライト投資で意識している内容



今回は、購入商品については触れませんが、ついでに、かもナスがサテライト投資で意識している内容は以下の通りです。
- 基軸通貨が、デジタルゴールド(仮想通貨)に移行しないとは言い切れない
- 割高となったアセットは、いつか売られ、割安なアセットに資金移動する
- 金(ゴールド)以外のコモディティ、デジタルゴールド(仮想通貨)および不動産リートはコア投資せず一定額をサテライト投資で保持する(リバランス対象外)
追記:2025年2月6日
サテライト投資について詳しくはコチラの記事をご一読ください。






まとめ



如何でしたでしょうか。皆さまの投資のお役に立てましたでしょうか。



アセットアロケーション運用は、幅広く分散させることで、リターンに対してリスクを最小に抑える手法です。まだ試しておられない方は、一度トライしてみては如何でしょうか。



個別のアセットをもっと細かく持って、自力で調整したいという方、特に20~40代の若い方は、ぜひトライしてみてください。逆に50代以降の方や、投資初心者の方、あるいは投資に時間を掛けたくない、めんどくさがり屋の方で、でも、アセットアロケーション運用がやりたいという方は、かもナスの投資法を取り入れてみてはいかがでしょうか。



※あくまで、投資は、最終的に自己の判断、自己責任でお願い致します。
次回記事では、本当に投資って必要なの?なぜ必要?ファイナンシャルプランから見る基本的な考え方について、お伝えできればと考えております。ぜひ、次回記事もご一読いただきますようお願い申し上げます。
本日は、ここまでお読みいただき
誠にありがとうございました。

