FIRA60 無リスク資産はもうどこにも存在しない!【適切なリスクを選択する時代】

無リスク資産はもうどこにも存在しない!【適切なリスクを選択する時代】

現代の経済環境において、「無リスク資産」の存在はもはや幻想に過ぎません。

かつて、預貯金は「安全=堅実」とされ、リスクを取らずに貯金を続けることが理想的な資産運用と考えられていました。

しかし、インフレ時代に突入した今、この考え方は過去のものとなっています。

実際、現金の価値は年々減少しており、預貯金という名の「無リスク資産」こそが、最も大きなリスクを抱えているという現実に直面しています。

これからの時代、私たちは「リスクを取らないことが最もリスクである」という新たな資産管理の選択を迫られていると言えるでしょう。

そこで今回は、インフレ時代における資産運用の本質と、適切なリスクを選択する重要性について解説します。

目次

「預貯金=安全=堅実」の崩壊|預貯金に隠された大きなリスク

バブル世代の価値観:「投資=危険」「預貯金=堅実」は過去のもの

「投資=ギャンブル=危険」だから投資に手を出してはいけない。「元本保証の預貯金で堅実に貯蓄しなさい。」バブルを経験した世代から教えられたこのような考え方は、これまでの長いデフレ時代には堅実な生き方でした。

しかし、インフレ時代に突入した現在、このような考え方は過去のものとなってしまっています。

現代は、「インフレ時代=元本保証は存在しない」という時代へと移り変わりました。

ここで言う「元本」とは現金の価値(購買力)を意味します。

Point:インフレ時代の現預金は価値(購買力)が低下する

デフレ?インフレ?
ややこしいなあ…

「預貯金=無リスク」は間違い|「元本保証」の正体は額面の数字だけ

物の値段が上がるインフレ時代においては、お金の価値は確実に目減りしていくことが約束されています。

しかし、この事実を知らず「預貯金=安全=堅実」という教えを未だに信じている方が、まだまだ大勢おられます。

「預貯金=無リスク」というのは、デフレ時代にのみ通用することで、インフレ時代には全く成り立たない方程式なのです。

Point:インフレ時代の預貯金はリスク資産

そうか、解かった。インフレは
物の値段が上がるってことね。

同時に現金の価値が
知らず知らずのうち?に
目減りして行くってことだよね。

ただし、預貯金が全て間違いという訳でもありません。

流動性を考慮して、生活防衛資金を現金で保管するという選択は間違いではありません。

また、株式などの下落時に備えるリバランス用資金などについても一定程度の現預金が必要です。

Point:現預金は吟味して必要最低限に

使い分けが重要ってこと?

「堅実な投資なんて存在しない」という誤解

「リスク=危険」ではない

「投資=元本保証ではない」というロジックは一見正しいように感じますが、インフレ時代の「無リスク」には見えない落とし穴が存在します。

「預貯金=元本保証」で保証されているのは額面の数字だけで、現金の価値はインフレで目減りする(購買力の低下)というリスクを既に負っているというのが現実なのです。

Point:銀行は「預金の価値は目減りする」という不都合な事実を決して言わない

そら、そうだ
言う訳ない…

リスクを取らないリスクが最悪の結果を招く

正しくリスクを取ることでの「堅実な投資」は存在します。

正しい金融リテラシーを身に付けた方は、「堅実な投資」を行っておられます。

一方、預貯金一本の方は、インフレリスクを取り、資産の価値を減らし続けることになります。

そう、預貯金は確実にインフレ負けするというリスクを負っています。

さらに、日本円という一国の通貨に偏ったカントリーリスク為替リスクも背負っています。

例えばドル円為替は、$1=約100円の時代から、今では$1=約150円に変わっています。

これは、資産の価値が3分の1も目減りしたことを意味します。

日本円の預貯金のみしか保有していないとすると、ドル円為替による輸入物価の高騰をまともに受けているというのが現実です。

日本製品であっても原材料費の高騰を反映して価格が上昇しています。

このような為替リスクを避けるために、資産の一部を米ドルやユーロなどの他国通貨で保有したり、外国株式などに投資したりする方法があります。

一般的にリスクと言えばマイナスのイメージですが、投資におけるリスクとは、価格がプラスにもマイナスにも揺れ動くことから上下の振れ幅のことを意味します。

Point:リスク(上下の振れ幅)を受け入れることで、はじめてリターン(プラス)が得られる

リスク取るって
ちょっと嫌だな…

資産管理の選択肢

ここまでの話しを要約すると、重要なのは「インフレ時代に無リスク資産は存在しない」ということです。

もう少し正確な表現をすると「インフレ時代には、名目上の“無リスク資産”であっても、実質的にはリスクを免れない」ということです。

つまり、資産管理の選択肢は大きく分けて以下の2つということになります。

  • 預貯金のみでインフレリスク(確実に資産価値が目減りする)などを受け入れる
  • 預貯金もリスク資産と捉え、他のリスク資産にも分散して購買力を維持する

老後の生活を大きく左右する
重要な選択肢だよね…

適切に必要最小限の
リスクを取ることが
正しい選択かも…

守るために“動く”という考え方|正しいリスクを取る

世界のマネーは“動いて守っている”

現預金、株式、債券、金(ゴールド)、コモディティ、不動産、仮想通貨など、インフレ時代における預貯金を含めて、これらの資産クラス(アセット)のすべてがリスク資産です。

そして富裕層や機関投資家などの世界中のマネーがこれらのアセットに投じられ、実際に利益を得ています。

私たちの年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、これらのアセットに分散投資しています。

そして、例え株価の大暴落時でもマネーは決して“消えている”わけではありません。

どこへ行った?

世界のマネーはアセットを移動しているだけ

例えば現金の価値が下がるということは、裏を返せば「他の資産の価値が上がっている」ということです。

つまり、現金の価値が実質的に目減りした分、株式・不動産・金(ゴールド)・エネルギー資源などの現物資産を保有していた人々の資産価値が上昇したということです。

このことからマネーは消えず、絶えず移動していると言えるのです。

すなわち、“持っている人”と“持っていない人”の間を絶え間なく移動しているのです。

世界のマネーはどこへ逃げているのか?

その答えは資金の流れを見れば明快です。

  • 米国株式のS&P500やNASDAQ100:最高値更新
  • 日本株式の日経225やTOPIX:最高値更新
  • 全世界株式の通称オルカン:最高値更新
  • 金(ゴールド):最高値更新
  • 原油や資源価格:インフレで上昇基調
  • 不動産やインフラファンド:資金流入の継続

一方で、預貯金の金利は0.〇%の鳴かず飛ばず、名目金利は上がらず、実質金利はマイナスです。

つまり、現金を持つ人は「鳴かず飛ばず、静かに損をしていると言えます。

マネーは常に“居心地のいい場所”へ移動しています。それは金利がつく場所であり、価値が上がる場所です。

そして今、その「居心地のよい場所」は銀行ではないということです。

世界の投資家たちは“インフレ時代を生き抜くルール”を知っている。

彼らは恐れずに、資産を“移動”させています。

株から債券へ、債券から不動産へ、あるいは金(ゴールド)へ。

つまり、利益を得ている人たちは「マネーの流れに乗っている」一方で、利益を得られていない人は「流れの外でじっとしている」といえます。

う~ん
そうなのか…

「お金を動かさないリスク」

なぜ日本ではお金を動かすことが恐れられているのでしょう?

なんで?

その理由はとてもシンプルで「教育されていない」からの一言に尽きるのではないでしょうか。

  • 学校では「お金を守り増やす方法」を教えない。
  • 銀行は「預けてください」とは言うが、「価値は減ります」とは言わない。

確かに

Point:インフレ時代において金融リテラシーを学ぶことは、資産を守り築くうえでとても重要

まとめ

預貯金がリスク資産と化しているインフレ時代においては、もはや投資をするかしないかの問題ではない時代に突入したと言えます。

無リスクの落とし穴を避け、インフレ負けしない資産管理をするためには適切なリスクを受け入れて投資をするしかありません。

つまり「どんなリスクを受け入れるか」を選択する時代なのです。

それでも投資はしたくないという方は、可能な限り働いて稼ぎ、目減りし続ける預貯金資産を労働あるいは事業収益で穴埋めし続けるという手法があります。

しかし、何らかの要因で働けなくなったり、事業に大きな障壁が生じたりするリスクが存在することも念頭に置くと、リスクの無い資産管理は有り得ないというのが現実です。

全てにリスクが存在する現実を踏まえると、リスクを味方に付けて上手にリスクと付き合うことが、この格差社会を生き抜く唯一の術と言えるのではないでしょうか。

次回の記事では、本稿の続きとして「堅実な投資」「リスクを抑えた投資手法」などについてお伝えしたいと考えております。

それでは皆様、今回も
最後までお読みいただき
誠に有難う御座いました。

また、次回以降の記事も
ぜひ、ご一読いただきますよう
宜しくお願いいたします。

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