近年の堅調な相場から一転し、株式市場は下落局面入りしています。
特筆すべきは、株式だけでなく金(ゴールド)や債券までもが同時に下落する「トリプル安」という異例の展開になっているということです。
特に新NISA導入から数年が経過、積み上げた資産が目減りしていく様子を目の当たりにし、不安を感じている方もおられるのではないでしょうか。
しかし、老後資金などのための長期投資においては、このような逆境においても航路を守ることで資産を防衛しながら増やすことが大切です。
本記事では、現在の「トリプル安」の背景と今後の見通し、また航路を守ることの重要性についてお伝えいたします。
株式・金(ゴールド)・債券|同時下落の背景
通常、株式と債券は逆の動きをする「逆相関」の関係にあります。
また、金(ゴールド)はリスク回避資産として市場不安時に買われやすい特徴があります。
しかし、現在の相場ではこれらが同時に売られる「トリプル安」の様相を呈しています。

つまり、これら通常のプロセスやセオリーが通じない異常事態であり、「逃げ場のない怖さ」のようなものが感じられる状況です。



そして、この状況をつくりだしている主な要因は以下の3点です。
粘着質なインフレと高金利の長期化
2020年代半ばに入っても、主要国のインフレ率は目標の2%をなかなか下回らず、各国の中央銀行は「高い金利をより長く(Higher for Longer)」維持せざるを得なくなっています。



そして、金利が高いと以下のような影響が出ます。
株式:将来利益の現在価値が下がるため売られやすい(短期国債が選好される)
※金利が高いと、リスクをとって株を持つより、確実な利息がつく預金や短期国債に資金が流れやすくなります。
債券:「金利が上がれば債券価格は下がる」という原則通り、利回りの低い既存の債券が売られる。
金(ゴールド):ドル金利が高いため、「利息がつかない金」を売って「利息がつくドル」へ資金が移動。
※実質金利の上昇とドル高環境では金の相対的魅力が低下(金利を生まない金よりも国債などが選好される)



つまり、「金利」という重力がすべての資産を同時に押し下げているのが現在の特徴で、金利高を主要因として「すべてに逆風」が吹いている状態となっています。
流動性の低下と「キャッシュ・イズ・キング」
地政学的な緊張の再燃や、主要国の財政赤字拡大への懸念から、機関投資家などが「あらゆるリスク資産」を手放し、現金(キャッシュ)や短期国債へ資金を退避させる動きが強まっています。
これにより、安全資産とされる金(ゴールド)までもが利益確定売りに押される事態となっています。
景気減速懸念
このところの中東紛争(ホルムズ海峡通航リスクの増大)などの影響を受けて、原油高を背景とした粘着性の高い「コストプッシュ型インフレ」の再燃により、景気後退(リセッション)への懸念が高まり、投資家心理が冷え込んでいます。



ただし、完全なリスクオフではなく、現金志向が強まっている点が特徴です。
今後の見通し|来年以降はどうなる?



2026年後半から2027年にかけて、相場は「調整」から「選別」のフェーズに移行し、主に「金利」と「インフレ」の動向に左右されます。
つまり、インフレヘッジになる資産や高金利でも安定収益が見込める企業などへの投資が選好されます。
■ 短期(~1年)
金利は高止まり、あるいは追加利上げの可能性も有り得る状況です。
株式市場は不安定な相場で一時的な反発上昇はあれども、上値の重い展開となりそうです。
■ 中期(1~3年)
インフレが鈍化すれば、利下げが開始される可能性が出てきます。
その場合、株式市場は徐々に回復基調に向かい、債券は価格上昇(利回り低下)局面に入ることに期待ができます。
金利のピークアウトが見えるまでは、不安定な値動きが続きそうです。
しかし、過去の歴史を振り返れば、弱気相場は平均して1年〜1年半程度で底打ちし、反転上昇しています。
■ 長期(3年以上)
経済成長とともに株式は再び上昇トレンドへ
長期投資家にとっては前述の中短期、特に直近の約1年間が「仕込み時」であり、「チャンスの到来」と捉えることができるでしょう。



つまり、短期的には厳しい環境が続くものの、長期では過度に悲観する必要はありません。
トリプル安からの回復|回復にかかる期間



トリプル安はかなりレアなケースではあるものの、過去に全く無かったという訳ではありません。
1970年代のオイルショックや2020年代のコロナ対策のための金融緩和によるインフレ抑制、そして2022年の英国トラスショックなど、株と債券は共通していますが、金(ゴールド)ではなく、不動産や通貨が同時に下落するケースもありました。
これらの回復に共通しているのは、「金利の低下」です。つまり、「金利がすべてを壊し、金利がすべてを救う」と言えるでしょう。
| 資産 | 回復の目安 |
| 株式 | 金利引き締め型:約1〜2年 政策ショック型:数週間〜半年 景気後退型:1〜1.5年 |
| 金 | 景気後退の兆しで早期反発 |
| 債券 | 金利上昇が止まると安定的に回復 |
今やるべきこと
積立投資は止めない



最もやってはいけないのが「下落局面での積立停止」です。
相場下落時こそ、
- 安く買える
- 平均取得単価が下がる
- 将来のリターンが向上する
というメリットがあります。
長期投資の基本は「安いときに多く買う」ことです。



短期的な含み損に惑わされず、淡々と継続することが成功の鍵となります。
1929年の大恐慌ですら、積立を続けた人は半分以下の期間で資産を戻したというデータがあるように、積立を止めなければ回復も早いことを覚えておきましょう。
リバランス(配分調整)の検討
資産配分(アセットアロケーション)が大きく崩れている場合は、リバランスの検討も有効です。
高くなっている資産を一部売却し、安くなっている資産を買い増しすることで、リスクを想定内に抑えつつ将来のリターン向上に期待ができますのでリバランスを検討してみる価値があります。
ただし、トリプル安ということは、資産配分(アセットアロケーション)自体は崩れていない可能性もありますので、その場合は無理にリバランスをする必要はありません。
あるいは、少しだけ比率が変わっているのなら、ノーセル・リバランスという手法も有効です。
余剰資金の確認
サテライト投資などでリスクの高い投資を行っている場合は、現金比率が余裕を持った運用を継続できるレベルとなっているか再確認しましょう。
大きく下落している投資商品を「底値近くで売却せざるを得ない」と言った状況に追い込まれることのないように見直しすることも有効な手段です。



また、基本的ですが生活防衛資金の再チェックも忘れずに行っておきましょう。
まとめ
新NISAから投資を始められた方々にとって、「トランプ関税ショック」に続くこの「トリプル安」は、まさに2度目の大きな試練と言えるでしょう。
しかし、成長投資枠やつみたて投資枠の『真価』が問われるのは、このような時こそです。
現在の同時安は永遠に続くものではありません。
また、歴史的な経済サイクルの一環であり、目標とするゴールへの「通過点」に過ぎません。
大切なのは航路を守り、積立の歩みを止めないこと。
この荒波を乗り越えた先には、より強固な資産基盤と、投資家としての経験値という大きな財産が待っているはずです。
それでは、皆様ご一緒に、
逆境を跳ね退けて
積立継続ガンバリましょう!
それでは、本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。
また、次回以降の記事もご一読いただきますよう
宜しくお願いいたします!















